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小説書いて、サイトに登録して・・・・。
そういうことをきちんとすると見に来てくれる人が増えることを実感いたしました。
私自身、登録したサイトで見た小説もありますし、
便利なもんだなあ、と思っております。
正直、
誰かが自分の小説を読んでくれるというのは
恥ずかしい気持ちもありますが、
それ以上に
うれしくて。
楽しくて。
評価とかなくても、人が来てくれることがうれしいです。
(もちろん評価とか、感想とかあるともっとうれしいです)
小説家になるほどの文才がないことは重々承知しております。
でも、書きたいんだもん。
書いたら誰かに読んでもらいたいんだもん!
そういう気持ちでブログに書いております。
ネタ帳もかねているため、
読みにくくてしゃあないとは思います。
まとめるだけの量(と人気)が出てきたら、
メモはなくしていこうと思いますが、
当分そうなりそうにはありません。
そんなブログに来てくださった方。
ありがとう!
これからもよろしく!!
ソラスはがばりと身を起こした。
まだ夜が開ける前だった。
「なんだ・・・今の。」
昨日の夜のような威圧感はなかったがなにか寒気を感じた。
幻のような、不安定な。
魔法剣士であり、魔法に長けた彼の感は告げていた。
危ない、と。
空間が歪む気持ちの悪い感触を感じ、左肩を掴む手に力が入る。
湖、草原、幻、空間…。
「…ヤバい。」
なにかが。
コンコン、とドアをたたく音がして、警戒しながらソラスは戸を開けた。
外に立っていたのはパールとアンジュラルだった。
結局、アンジュラルもソラスに同行する事になっていた。自分の目でパールを見たい、とのことらしい。
「ソラス、なにかが変だ。」
「わかっている。早く街を出るぞ。」
「どういう事ですの?」
「詳しくはわからん、だが…。」
パールはソラスの方を見る。彼は頷く。
「ここに居座るのは危険だ。」
三人は森と逆方向に歩く。
ソラスの足はかなり速く、他の二人は走っているようだった。
「まって!休ませて…。」
体力のないアンジュラルの一言で少しだけ休んだが、その後も急いだ。
そして草原を抜ける。
「違和感が…なくなった。」
パールの言葉にソラスは頷く。アンジュラルはその場に座り込む。
「休んだら、次の街を目指そう。」
そう言ってソラスは振り向く。
「あ……。」
先ほどまでの草原は見当たらず。
そこは
湖だった。
「どうしましたの?」
パールとアンジュラルも振り向き、言葉をなくす。
「…街は?」
「…わからん。」
「他の場所に移ってる、と信じてぇな。もしくは蜃気楼だったとか。」
「湖の底、だとは思いたくないな。」
ソラスは後悔していた。
彼は地図を見るのがとても苦手だ。
だからと言って、荷物になるからと地図を置いてくるべきではなかった。
「前に近くを通った時は湖があったはずなのに…。」
「残念ながら影も形もないな。」
「北に抜けたんだよな?」
「間違いない。森を避けて出た。私の記憶でもここは湖だ。」
二人は困惑していた。
風が通りぬけ、青々しい香りが二人の肺を満たす。膝近くまである草が波のように揺れる。どこまでも続く、緑。
草原だ。
「とりあえず…歩くか…。」
「だな。」
日が傾いて行く。
紅い夕方の光が長い影を作る。
ソラスはふと立ち止まり、右手を見る。
「…街だ。」
白い城壁が紅く染まっている。
「ああ。」
「走るぞ!」
ソラスは言うが早いか走り出す。パールも後に続く。
「どうして走るんだ?」
「そろそろ門が閉るんだよ!」
ああ、と納得するパールを尻目にソラスは走る。
「そこの門、閉るのストーップ!!」
こうしてなんとか野宿は免れたのであった。
宿だけとってソラスとパールは分かれる。
パールは街が珍しいらしく、一人で見て回っている。
ソラスの方は数日の疲れを吹き飛ばすため、酒場に入ろうとしていた。
未成年の割に、アルコール度数と値段の高い酒を肴無しに飲む。その姿は年齢に似合わぬ落ち着きだった。
「隣、良いですわね?」
隣に座ろうとする紅い髪の場に似合わない少女をちらりと見る。
「何飲む?おごるぜ?」
「いいですわ。外で話がしたいだけです。」
ソラスは1cmほど残っていたウィスキーを飲み干し、カウンターに金を置き、席を立つ。
暗い路地裏で二人の男女が立ち止まる。
「六賢者ミノルの巫女がどうしてパールを襲ったのか教えてもらおうか。」
髪をまとめているゴムを外しながらソラスは言う。振り返る動作に青い髪がついて回る。
「彼女は光使いよ。…つまり、混沌をもたらす者よ。」
ソラスは話しが掴めず首をかしげる。
「光使いと言うのは常に、破壊の女神の魂を保有して生まれるわ。彼女がいるだけであらゆるところで破壊が起こります。」
「そういう伝説、だろ?」
ソラスはばかばかしい、とでも言いたげに首を振る。
「それでも、危険の芽は摘んでおかなくてはなりません。あの森の所為で今まで手をこまねいてきましたが!」
「…あいつが……いるのが悪いと言うのか?生まれてきたことを罪だと言うのか?!」
普段より強く、少し高い声でソラスはアンジュラルに反論する。
「だって、あの子は…破滅をもたらすのよ!」
「伝説は真実ではない!」
「でも…!」
「でも私は破壊の女神だ。」
アンジュラルは後ろを振り返る。
そこには街の明かりに照らされた光使いがいた。
「わかっている。私があの森で暮らしていた理由も、あの森に何重もの結界が張られていた理由も、小さい時の記憶が封印されているのも、全て。私のもうひとつの魂を封じるためだ。全てわかっている。」
彼女が一歩足を進めるごとに空気は重くなっていく。
抑揚のない声も、揺れる事のない視線も、全てが、彼女が女神の魂を保有する事を拒否できないようにしていた。完全に、飲み込んでいた。
「私の人生だ。私が決める。父の遺言以上に、私が外に出たいと願っていた。ソラスにあって今しかないと思った。私が決めた。」
空気の振動が教える。ここは女神のテリトリーだと。
絶対の混沌を。
アンジュラルは、その言葉に自分の行いを恥じ、
ソラスはその力に、何故か身体の奥が狂喜するのを感じた。
動けない二人と、動かない一人。
新緑の髪がさらりと揺れ、その持主が静かに微笑む。
無邪気で、全てを破壊するかのような笑み。
ソラスは自分自信をなんとか押さえ込んだ。
「もうすぐ外に出られるぞ。」
あれから二日もたった。
「やっとか…。」
ソラスはかなり疲れた声で言う。
次の一歩を踏み出そうとするが、とまる。
「どうした?」
「何か…いる。」
背負う剣を下しグリップを握る。それを見てパールも構える。
注意力がかなり高い事はこの二日間でわかっていた。
「出て来い!」
「…気づかれましたか。」
木の陰から女性が出てくる。
歳はソラスと変わらないくらい。着物のような服を大きく着崩している。白い肩に赤色の髪がかかる。前で結ばれた大きな帯が少女が歩くたびに揺れる。
「神殿の決定を待つまでもありませんわね。その少女を渡していただきましょうか。」
キ、とソラスを睨み付けながら言う。
「お前、付いて行く気あるか?」
ソラスは後ろを振り返りパールに問う。
「ないな。」
はっきりとした答えが返る。
「んじゃあ…行くか。」
「ああ。」
ソラスは剣を肩にかけ、赤い髪の少女の隣を抜ける。パールもそれに続く。
「達者でな~。」
一声だけかけ何もなかったように進むが、
「待ちなさい!!」
それですむわけもなく、少女が後ろから声をかける。
「このアンジュラル・バーミリオンに背中を向けるとは、いい度胸ですわ!」
手に持った何かを奮う。その動き通りに炎が現れる。
赤色の色鉛筆でソラス達を指す。炎の渦が二人を襲う。
「…色使いか!」
ソラスは剣を抜きその炎を受ける。抜き放たれたクレイモアの刃が炎をまとい紅く煌く。
「返品させてもらうぜ!」
ソラスが剣を奮うと先ほどの炎が少女に向かって放たれる。
「な!!」
アンジュラルはそれを紙一重で避ける。
「魔法剣士を見るのは始めてか?」
ソラスは剣を構える。
「色魔法と言っても原理は普通魔法…一般的に使われる魔法とそう変わりねぇ。魔法剣の使い手なら受ける事は造作もないてことさ。」
「くそ!覚えてなさい!」
それだけ言ってアンジュラルは森の中へと入っていった。
ソラスは剣を収める。
「色使いで神殿て言えば、六賢者ミノルの神殿だぞ?なんで狙われてんだよ?」
「知らん。」
当の本人の返事は短かった。
森の中は昼間でも薄暗い。
そこを一人の男が歩く。
年はまだ少年といっても良いくらいで、フード付のパーカーを羽織った姿に違和感がなかった。
顔つきは中性的…むしろ女性のようだった。
青色の髪は無造作に後ろでまとめられ、後ろをついてくる毛先は水色に見える。
背には高価そうな剣を背負っており、値段的にも大きさ的にも不釣合いに見えた。
少年は上を見上げ、そしてすぐに視線をおろした。
彼の名前はソラリスファ・エイプリル。
本名はもっと長いがここでは割愛する。
そして、彼は自分のことを『ソラリスファ』と紹介することはめったになく、『ソラス』で通している。
彼は前…道のないただの森を見てため息をつく。
完全に、
完膚なきまでに、
迷子だった。
ソラスはとぼとぼと歩き出す。
太陽が完全に真上に昇ったとき、ソラスは異変を感じた。
急に辺りが暗くなったのだ。
上を向いて確認するが日が翳ったわけではないようだ。
そのとき突然、後方から彼を襲った。
そして彼はその光の方へ走り出す。
彼の足は速く、すぐに光の爆発の中心を確認できた。
そこには
ソラスと同じくらいの少女がいた。
新緑の髪の上方だけを分け二つに結んである。オレンジ色のワンピース、ゆとりのある袖。簡素なマント。
武器の類は持っていない。
双方無言で立っている。
異常な力が消え行く中、先に口を開いたのは、
「この森で人に合うのは久しぶりだな。」
少女だった。
「俺も人に合うのは久しぶりな気がするぜ。」
光の爆発は、なくなった。
少女は一歩足を進める。
「だろうな。ここは『魔の森』。人が入ってくる場所ではない。」
「んな、そんな危ない場所に入ってきてたのかよ!」
ソラスは左肩を逆の手でかむ。言葉ほどは焦っていないようだった。
「不思議な奴だ。」
少女はほんの少し微笑みしっかりとソラスを見る。
「今まであの光に自ら寄ってくる者など皆無だった。余程自分に自信があるのだろう。」
そして少女は腕を組む。
「気に入った。この森を出る方法を教えてやろう。ただ私もいっしょに行く。」
「勝手に話しを進めるなよ!」
「もう決めた。」
コイツ、もう何言っても無駄だな…。そんな思いがソラスの頭をよぎった。
ふと何かを思い出してソラスは空を見上げる。
「そういや、さっきの光は…?」
「私の術だ。」
「普通魔法とは質が違ったぞ?」
少女は視線をずらし宙を見る。
「特殊魔法の類だからな。光使いは珍しいとのことだ。」
「光…使い…?」
ソラスは記憶の糸を手繰る。どこかで聞いたことがあった。
「千年に一人も生まれないって話じゃないか。」
「らしいな。」
「んな、他人事みたいに。」
「あまり気にしておらんのでな。して、先ほどの話は?」
「森の外に・・・、てやつだろ。飲むさ。」
ソラスは右手を方から外し前に差出す。
「ソラス・エイプリルだ。」
「私はパール・レフージュ。」
パールは組んでいた腕を解きソラスを握手する。