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「オレは、結局帰れない!!」
泣きそうな声で泣くまいとしつつ千字は言う。
「なら」
その悲壮な声の主の言わんとすることはわかる。だが吾呂は止められなかった。
そう、どちらかが死なねばどちらの命もない。
そして、吾呂には帰るべき場所に帰る術がある。
「オレが、この扉を閉じる。」
最後は震えていなかった。
「決心してしまったのね。」
吾呂は静かにわかりっきっている事を聞いた。
千字はただ一度だけ頷いた。
「そう。」
何も言わないと吾呂は決めた。
ただ流れる涙を拭えなかった。
千字は乾いた目で
死を覚悟した。
あの「手」が迫っていた。
つかまることは出来ない。
「最強の者」であったBTB…姉がつかまってまで自分を逃がした意味を考えなければ。
そう、
自分の役目は姉が最も信頼した戦士、M.O.のところにいくことだ。
つかまるわけにはいかないんだ。
だから。
手が・・・
姉さん・・・・
・・・・
少年が走っていた。
その姿は「必死」さが見て取れた。
その12歳の少年は「名前を奪われたもの」だった。
「今日も良い朝ね」
晴れの光が少女を照らす。
彼女もまた「名を奪われたもの」だ。
いつものように森の中へと足を踏み入れる。
朝の光に包まれた森は美しく輝いていた。
そしてそして数歩歩いたとき人が倒れているのを見て、
見ぬふり出来ぬほど家から近いことを理解した。
その辺の木の棒をつかみ、突っついてみる。
「・・う」
・・・反応がある。
「・・面倒ことをこれ以上背負い込むつもりは無いんだけどなあ。」
そうつぶやきながら、少女は人を呼びに家に戻っていった。
少年の意識が戻ったのは昼過ぎだった。