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好きだ、と一言伝えた。
それはオレのエゴだったと思う。
それでもあいつは返事を返してくれた。
曰く、双方ともいつ死んでしまうかわからないから返事できないよ
最もだと思う。
オレもわかっていた。
それでも伝えたい思いだったのだ。

「イエロー、昨日の返事をちゃんとするよ」
おれ達二人は基地とも小屋ともとれる建物の屋根の上にいつものように並んで座っていた。
「昨日って、あれで終わりじゃなかったのか?」
「あたしね、しっかり考えたんだ」
両手を組み、ん、と伸ばしてから彼女はこっちを向いた。
「あたし達、お互いの名前を覚えてないよね」
「ああ、お互いに感情移入しないように、ってやつだろ」
だから、おれは大切な彼女の名前が思い出せない。
「あたしね、君の事、好きなんだ。だから」
1テンポ置く、そして言葉を選ぶように続きを続ける。
「だから、本当の君と好きあいたいんだ。本名の本当の君を好きでありたいんだ。そして、本当のあたしの事を好きでいてほしいんだ」
「・・・、そうだな。全部終わってからじゃないとな。」
「うん。それまで好きでいてくれるかな?」
「好きでいる。好きでいさせてやるよ」
傲慢であろうおれの言葉にメチルレッドに取りつかれた中の、本当の彼女が頷いてくれたのを、おれは感じた。

1
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「反応!」
威勢の良い青年の声が響く。
とたんその青年は黄色い光に包まれた。
その光が消えたとき、指示薬戦士メチルイエローの姿があった。
「どうだい。今回の反応装置は」
男の声が言った。
「まえよりだいぶ負担が減ったな。良い感じ」
イエローが笑顔でこたえる。そしてありがとう、と付け足す。
「戦地におもむく我子に、わたしがしてやれるのはこれくらいだからね」
M.Yに憑かれた時点で死亡するか全ての指示薬を開放するまで、呪の様に指示薬はとり憑きつづける。ソレから解放する手立ては今のところ無かった。
だからせめて、戦い易い様にと。
それが出来るだけでも指示薬戦士の親の中では自分は幸せ者なのだ。
そう思わないとやってはいけなかった。
息子も舎弟のあの子も、死ぬ気が無いどころか戦い勝つ気でいるのだから。
手助けをしなければ。
せめても・・。
だから
どうか息子よ。
生きて勝って、
そのわたしのつけた氏名を思い出させてくれ。

指示薬の力によって封印されたその名前を。

1


あの日を忘れない・・。
絶対に。

リトマスはいつもわたしを気遣ってくれていた。
わたしは彼の恋人だった。
いつまでも追いかけられ、戦闘によって傷ついたわたしを
わたしの心を癒してくれるのは彼だった。
人見知りが激しく、表情が表に出ないわたしをかばってくれたのも彼だった。
彼の前では本当の自分でいれた。

あの日々を忘れはしない。
そして、力不足を思い知った、大切なものがこの手からすり抜けていった、あの日を。
あの日を、あのときを忘れられるものか・・。

手を伸ばせば届いたかもしれない。
わたしは手を伸ばすことができなかった。
ただ、瞳はその光景をしっかりとうつした。
脳はそれがどういう事なのかしっかりと理解した。
動かない身体。受け入れられない心。
心地よい彼の力がわたしを包み、浮遊した。
彼はもう返事を返してくれる状況ではなかった。
わかっていてわたしは叫んだ。
リトマス、と。
本名は知らない。
通り名は知っていたがそれよりは魂の名前に近いだろう。
それに
わたしにはその名前で呼ぶ彼が一番近かった。
だから。
だけど。
「リトマス!!」
次の瞬間には
彼を確認する事が出来なくなっていた。
冷たく硬い地面の感触に身体をぶつけていた。
あの暖かい、心地よい彼の力を感じる事は
2度と無い。

指示薬はつかまり保管される。
だが、指示薬戦士は、人間は、
そう、彼は。
もう2度と
彼と笑う事は、
わたしが笑う事は
2度と無い。
1
1-2

あの「手」が迫っていた。
つかまることは出来ない。
「最強の者」であったBTB…姉がつかまってまで自分を逃がした意味を考えなければ。
そう、
自分の役目は姉が最も信頼した戦士、M.O.のところにいくことだ。
つかまるわけにはいかないんだ。
だから。

手が・・・
姉さん・・・・
・・・・

1-1

少年が走っていた。
その姿は「必死」さが見て取れた。
その12歳の少年は「名前を奪われたもの」だった。


「今日も良い朝ね」
晴れの光が少女を照らす。
彼女もまた「名を奪われたもの」だ。
いつものように森の中へと足を踏み入れる。
朝の光に包まれた森は美しく輝いていた。
そしてそして数歩歩いたとき人が倒れているのを見て、
見ぬふり出来ぬほど家から近いことを理解した。
その辺の木の棒をつかみ、突っついてみる。
「・・う」
・・・反応がある。
「・・面倒ことをこれ以上背負い込むつもりは無いんだけどなあ。」
そうつぶやきながら、少女は人を呼びに家に戻っていった。


少年の意識が戻ったのは昼過ぎだった。

メチレンジャー

指示薬
↓ → 指示薬戦士
人間

人間が死ぬと指示薬がその身体から離れる。
そこで回収されるとその回収した者の物。
回収したからといって、指示薬戦士になるわけではない。
回収されなかった場合、
いく年か後、自分に合う人間を探しその人を強制的に指示薬戦士にする。

フェノールにすべて回収されると負け。
指示薬戦士がフェノールを倒せば指示薬側の勝ち。
見つかればフェノールに追われるため
・逃げる
・戦う
・つかまる
の選択となる。
正しつかまった場合、
・配下になり他の指示薬戦士と戦う
・殺されて指示薬を渡す
の二択。
正し、配下になったところで最後には殺される。

フェノールの目的
薬品を全て回収すれば自然化学の王となり
新たな世界すら創造できる。

その他の薬品
指示薬以外には戦う力が無く
ほぼ回収されている。

指示薬
本物の指示薬、では無く
指示薬の霊、例のようなもの。
実体は無く、死んだ時には結晶が現れる。
詳しくはわからない物体。

指示薬戦士
指示薬に取り憑かれた人間。
死ぬか薬品を全て解放するまで取りつかれつづける
本人の意思で取りつかれる事はめったに無い。
取り憑かれたと同時に周囲の人はその人の名前を思い出せなくなる。
死んだ時には思い出せるため、
その指示薬戦士が死んだことが周囲にわかる。
もともと知らなかった場合はもちろん思い出せない。

指示薬戦隊
戦える力を持った最後の指示薬の集まり
現在はもう一組しか残っていないが一昔前までは結構あった。

メチレンジャー
薬品達の最後の希望である指示薬戦隊。
メンバーは
M.O. メチルオレンジ(リーダー)
M.V. メチルバイオレット
M.Y. メチルイエロー
M.R. メチルレッド
M.B. メチレンブルー
の5人。

BTB
最強の指示薬。
ブルーを守るため、オレンジを逃がすためにつかまったが
フェノールではBTBを取りだし捕まえる事が出来ないためつかまっている。
ブモチモールブルー
メチレンブルーの姉。

フェノールの配下
指示薬数人と化学実験器具

手をのばした。
掴みそこなった。

あの時、俺は俺の天使を無くした。

否、亡くした。

その痛みは今でも身体中に響く。

そして心に。





「雨か…」

こんな日だった。BTBを手放したのは。

彼女は俺をかばって捕まった。

しかし、彼女の名前を思い出すことが出来ない。

つまり

「生きているはずなんだ…」

だけど、どうやって?

…どうやってでもいい。

思い出せないうちは生きてゆける。

彼女の、天使の命があることを信じ、

俺は進む

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