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好きだ、と一言伝えた。
それはオレのエゴだったと思う。
それでもあいつは返事を返してくれた。
曰く、双方ともいつ死んでしまうかわからないから返事できないよ
最もだと思う。
オレもわかっていた。
それでも伝えたい思いだったのだ。

「イエロー、昨日の返事をちゃんとするよ」
おれ達二人は基地とも小屋ともとれる建物の屋根の上にいつものように並んで座っていた。
「昨日って、あれで終わりじゃなかったのか?」
「あたしね、しっかり考えたんだ」
両手を組み、ん、と伸ばしてから彼女はこっちを向いた。
「あたし達、お互いの名前を覚えてないよね」
「ああ、お互いに感情移入しないように、ってやつだろ」
だから、おれは大切な彼女の名前が思い出せない。
「あたしね、君の事、好きなんだ。だから」
1テンポ置く、そして言葉を選ぶように続きを続ける。
「だから、本当の君と好きあいたいんだ。本名の本当の君を好きでありたいんだ。そして、本当のあたしの事を好きでいてほしいんだ」
「・・・、そうだな。全部終わってからじゃないとな。」
「うん。それまで好きでいてくれるかな?」
「好きでいる。好きでいさせてやるよ」
傲慢であろうおれの言葉にメチルレッドに取りつかれた中の、本当の彼女が頷いてくれたのを、おれは感じた。

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